ここでは、IT業界におけるSES(システムエンジニアリングサービスの略。委任・準委任契約等)の契約に的を絞り説明します。 SESビジネスが普及した昨今、高い技術を有する個人事業主の需要も高まっています。
SESビジネスは、企業と事業主が契約を結ぶことで成り立つ業務形態です。 SESを基盤に事業を営む個人事業主は、契約締結も自分で行わなければなりません。
契約内容が自分にとって適切かどうか判断できるよう、どのような契約形態があるのか、それぞれの違いは何なのか、しっかり理解しておきましょう!
企業間で仕事を受発注する際には契約が発生しますが、個人事業主も例外ではなく契約書を取り交わすことになります。
そこで、新規のお客様と取引を始める際にまず締結するのが基本契約書となり、 基本契約書には、継続的な取引を行う際に共通した内容を記載することで、以後の契約を簡素化するために用いられます。
基本契約書の内容は企業ごとに異なりますが、契約上での双方に関わる約束事に関して数ページに渡り記載してあり、 双方の捺印と収入印紙4000円を張ることで締結完了となります。
上記で締結された基本契約書に対して、個別契約書は取引ごとに変わる内容を記載します。
個別契約書には委託業務を完成させるための契約内容が細かく記載されています。
(条件は個別契約書ではなく、注文書に明記される場合もあります。)
契約期間 | 業務が完了するまでの期間について記載されています。 |
業務名称及び開発内容 | 参画する業務の正式名称と、どのような内容の業務に携わるか記載されています。 |
納入物件及び納入期日 | 業務委託契約の場合は、個別契約で取り決めた納品物を納入期日までに納めて頂きます。 |
基本月額委託料 |
支払われる報酬について記載されています。 こちらの金額を目安に基本月額料金や追加工数などを決定します。 |
清算条件 |
月間の工数を「固定」とするか、標準時間枠外の分を「清算」するかは、予め協議しておきましょう。 それぞれの特徴は以下の通りです。 <固定> 月間の工数に関わらず、支払われる報酬額が決まっています。 万が一、契約者が事故等で数日しか働けなくても、原則、満額の支払いが必要となりますが、 高稼働で追加工数が生じた場合でも報酬額は変わりません。 <清算あり> 月間の標準稼働時間を上回る、または下回る場合に、その過不足分の報酬額が増減します。 標準稼働時間は、契約先(案件)毎に異なり、「140時間~180時間」等と定められます。 |
支払期日 | 報酬が支払われる期日について記載されています。 |
<注意点>
基本契約書と個別契約書の両方を締結した際に、契約条件が両契約書内で矛盾が発生する場合があります。
優劣関係については基本契約書に記載されていますが、個別契約書を優先するというケースが多いです。
つまり、個別契約書の契約条件によってはどんなに良い基本契約書での契約条件を結んだとしても、 個別契約書の内容によっては意味がなくなってしまいます。
こういったトラブルを防ぐためにも、基本契約書と個別契約書の優劣関係の確認と、個別契約書の諸条件については必ず確認し、問題点を発見した場合は即座に修正を求めるようにしましょう。
SES(システムエンジニアリングサービス)ビジネスの中で、個人事業主と企業での契約形態は業務委託(請負・委任・準委任)という契約となります。
この業務形態では技術力をもって納品物を完成し、お客様へ提供することを目的としています。
請負と委任はいずれも業務委託と総称されますが、成果物の完成責任を負うかどうかという点が異なります。
請負の場合は、予め定義した成果物を期日までに納品することで報酬を受け取る形となります。
納品した成果物の品質に問題がある場合、請負者側に瑕疵担保責任が発生します。
一方、委任・準委任では作業の遂行に対して、報酬を受取る契約形態になります。
いずれの契約形態でも指揮命令系統が発注先企業に無く、勤務時間の管理等も自身ですることが出来ます。
但し、進捗管理や工数管理を自己できちんと行わなければ、納期遅れなどに繋がりますので注意が必要です。